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「SARS」「リーマンショック」の事例から考える“コロナショック”が与える不動産市場への影響

2020.03.13

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2020年3月12日、WHOによって「パンデミック(世界的な大流行)」との見解が発表された新型コロナウィルス。日本でも連日、報道され、学校の休校や北海道の緊急事態宣言など全国的な対応策が取られています。

さて、本記事のテーマは、新型コロナウィルスが不動産市場に与える影響です。

「コロナと不動産にどういった関係があるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。ウィルス自体が、住宅や不動産流通に影響を与えるわけではありません。危惧されるのは、コロナウィルスの対応策として物流や人の流れが滞ることで、日本、そして世界的に経済が衰退し、結果として不動産市場の活性化が失われたり、不動産価格の暴落が起こったりすることです。

(株)帝国データバンク(TDB)は6日、「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」結果を発表した。<中略>「不動産」は55.2%で、そのうち「すでにマイナスの影響がある」が20.4%、「今後マイナスの影響がある」が34.8%だった。
(引用:R.E.port

中国の不動産会社100社余りが破産-新型コロナで苦境深まる
(引用:Bloomberg News2020年3月11日

コロナウィルスが不動産市場に与える影響についても連日、報道されています。

先に申し上げておきますが、今後の株価や経済、不動産価格の行方については、断定することはできません。とくにコロナウィルスのように、全世界を巻き込み、今後どの程度の広がりを見せるのか、いつ終息するのかわからないものが起因する場合には、いかようのシナリオも考えられます。本記事も不安を煽るものではありませんので、判断材料の1つとして見ていただけますと幸いです。

株価と不動産価格の関係性

日経平均株価は3月に入ってから急降下し、20,000円を割り込んでいます。投資家のみならず、最近増えている積立貯蓄をしている方もヒヤヒヤしていらっしゃるのではないでしょうか。

ただ、期間を広げて推移をみてみますと、現在の水準は1年前とほぼ同じです。2011年に東日本大震災が起こり、株価は低水準で推移していましたが、2013年には金融緩和政策や東京オリンピック開催決定、世界的な景気の上向きなどが影響して、好景気が続いています。長期的にみれば、今の水準はまだまだ「暴落」とはいえません。ただし、「急落」には違いありません

上記は、青線がダウ平均株価、赤線が日経平均株価の推移です。ほぼ連動していることがわかりますね。

なぜ株価の推移を提示したかというと、不動産価格は株価に大きく影響を受けるからです。

(出典:国土交通省

(国土交通省の地価公示データより筆者が作成)

上記2つの図をご覧ください。1つ目の図が不動産価格指数(ある起点を100として、不動産価格の動向を指数化したもの)の推移、2つ目の図が住宅地の公示地価の推移を表したものです。

タイムラグはあるものの、2013年からの株価上昇と同様に、2019年まで右肩上がりで推移していることがわかります。

そもそも株価とは、景気を映す鏡です。株価と不動産価格が連動する理由としては、「株価の上下による経済的な安心感・不安感の連動」「景気と金利の緩和・引き締めの連動」など様々なことが考えられます。ただし、連動するとはいえ、株価がまず先に動いて不動産価格が追従するのが基本ですので、不動産価格の今後を占うには、株価の動向を注視することは不可欠なのです。

株価は3月に入り急落はしたものの、まだまだ水準的には危機的状況ではなく、回復に転じるか、再降下になるか見通しは立っていません。今後の先行きは、コロナウィルスの状況とともに、政府や世界各国、WHOの動きによっても大きく変わってくるはずです。経済を優先させるのか、ウィルスの終息を第一に考えて徹底的に人の流れを止めるのか。また、東京オリンピックが予定通り開催されるのか、延期されるのかによっても、日本の不動産市場への影響の出方は異なるでしょう。つまりは、不動産市場に大きな影響が出るか否かは、今後の動向次第なのです。

SARS流行時はどうだった?

過去の感染症として記憶に新しいのは、「重症急性呼吸器症候群=SARS」ではないでしょうか。SARSもまたコロナウィルスの一種で、中国を起源とした感染症でした。

国立感染症研究所によれば、SARSは2002年11月15日の中国の症例に始まり、2003年7月5日にWHOによって終息宣言が出されるまでに8,096人が感染。774人の方が亡くなっています。

一方、2020年3月10日のWHO発表によると、現時点で新型コロナウィルス感染者数は112,492人、死亡者数は3,996人にのぼっています。

SARS発生時の日経平均

(Yahoo!ファイナンスの値より筆者が作成)

SARSの発生が確認された当時は、株価の動きに大きな変化は見られませんでしたが、長期的にみれば発生から5カ月ほどの間で、株価は10%前後値を落としています

その一方、不動産価格はというと、2002年~2003年までの間で大きな変動は見られませんでした。

東日本レインズによれば、この間、中古マンション価格は平米単価30万円代で推移。また不動産経済研究所によると、2002年の新築マンション平均価格は3,237万円、2003年が3,165万円と、こちらも大きく動いていません。

SARSが日本の不動産市場に大きな影響を与えなかった背景には、株価が比較的早く回復したことにあるでしょう。上記、株価の推移を見ていただければわかるように、SARS流行時は、4カ月ほどかけて落ちた株価がその後2か月ほどで従来の水準まで回復しています。

世界的な感染症流行時の株価低迷とその後の回復の事例を見てみますと、今回も新型コロナウィルスも、終息後の復調に期待が持てるともいえるかもしれません。

SARS流行当時と2020年の違い

ただ当時は、中国経済が上昇過程にあったとき。また、中国が世界経済に与える影響は今ほど大きいものではありませんでした。2020年現在はというと、中国の経済は当時ほど上昇傾向にあったとはいえませんが、世界的に与える影響は当時より大きいといえるでしょう。

また、現状ではSARSは2020年の新型コロナウィルスより、致死率が高いといわれています。しかし、2020年新型コロナウィルスと比較して感染者数は圧倒的に少なく、広まった地域は多いものの、感染者が増えたのは主に香港、カナダ、台湾、アメリカに限られていたという点も大きく異なります。

つまり、SARS当時より中国の経済力低下が世界に与える影響は大きいとみられるものの、中国の経済が回復するのに時間がかかるということ。そして、世界的な経済危機につながる可能性は、現在の新型コロナウィルスの方が高いと推察されるのです。

リーマンショックが不動産市場に与えた影響

最近では「コロナショック」と言われることもありますが、『ショック』というのは、株価暴落など経済的な危機、混乱の現象を指します。近年で最も大きな世界的な経済危機といえば、2008年の「リーマンショック」があげられるでしょう。

リーマンショックは、2018年9月15日、アメリカの投資銀行リーマンブラザーズホールディングスの経営破綻を皮切りに、世界的な金融恐慌と発展した事象です。

(Yahoo!ファイナンスの値より筆者が作成)

当時の日経平均の推移をみてみますと、2008年10月を前に急落していることがわかります。SARSのときは、株価がジワジワと10%ほど落ちましたが、リーマンショック後は、短期間で30%ほど下落しました。上昇傾向になるまでには半年ほどを要し、1年ほどでショック前の水準に戻っています。

リーマンショックが日本の不動産市場に与えた影響は大きい

不動産価格指数をみてみますと、日経株価と同様な動きをしていることがわかります。不動産価格も1年ほどでリーマンショック直前の水準までには戻っていますが、「不動産ミニバブル」といわれた2007~2008年の水準まで回復することはなく、東日本大震災を迎えます。

■中古マンション平米単価

(出典:東日本レインズ

中古マンションについては2008~2009年にかけて大きく落ちませんでしたが、新築マンションの取引件数は圧倒的に下がりました。不動産経済研究所によれば、2007年度の新築供給戸数は133,670戸だったのに対し、2008年は98,037戸、2009年は79,595戸に激減しています。

■中古戸建の平米単価

(出典:東日本レインズ

■新築戸建の平米単価

(出典:東日本レインズ

■土地(100~200㎡)の平米単価

(出典:東日本レインズ

一方、土地戸建については、成約件数、価格ともに大きく下落しています。

市場全体的にその後大きく回復せずに2011年の東日本大震災を迎えたので、2008年~2012年の不動産市場は低迷期だったのです。

まとめ

今後の株価および不動産価格が、SARS当時の道筋をたどるのか、リーマンショック当時の道筋なのか、はたまた全く別の結果となるかは定かではありません。

これから不動産取引をおこなう方は、株価や世界情勢の動きに注目するとともに、専門家に相談されることをおすすめします。不動産仲介とは、契約にいたって初めて報酬が発生するものです。つまり、市場に関することや売却時期・購入時期の相談については、無償で応じてもらえるということです。先行き不透明のご時世だからこそ、専門家による見解の重要性は増しています。

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監修役

不動産ライター 亀梨奈美

亀梨奈美

大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。在籍時代は、都心部の支店を中心に契約書や各書面のチェック、監査業務に従事。プライベートでも複数の不動産売買歴あり。
業界に携わって10年以上の経験を活かし、「わかりにくい不動産のことを初心者にもわかりやすく」をモットーに不動産記事を多数執筆。

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