マンションは非常に大きな資産ですから、売却に失敗してしまえば大きな損失にもつながります。
マンションを売るにあたって大事なのは、不動産会社に任せきりにしないこと。不動産会社選びも、価格設定も、主導権を握るのはあなたなのです。
こちらの記事では、マンション売却で起こりがちな7つの失敗事例とともに、注意点について解説します。
目次
マンション売却で成功するためには「失敗事例」から学ぶべき
そもそもマンション売却における「成功」とは、一体なんでしょう?
答えはとてもシンプルで、マンションを早く高く売ることではないでしょうか。しかしそれは、簡単ではありません。多くの人はマンション売却の初心者ですから、「成功のために必要なこと」がわからないからです。だからこそ、事前にマンション売却でありがちな失敗事例から学ぶことが大切だといえます。
よくあるマンション売却の失敗事例は、具体的に次の7つです。
【ポイント!】
- 不動産会社の見極めが甘い
- 相場価格を把握していない
- 売却時期を見誤る
- 最低価格の設定ができていない
- マンションの見た目が問題
- 内見対応がよくない
- マンション売却にかかる諸費用を把握していない
少し細かいようにも思えますが、マンション売却の失敗は、多くの場合この7つのことに起因しています。
要は、事前にこの7つの失敗事例から注意点を学ぶことができれば、マンション売却の失敗は避けることが可能だということです。
マンション売却の7つの失敗事例と注意点
それでは、ここから具体的にマンション売却の7つの失敗事例を確認していきましょう。注意点についてもそれぞれ述べていますので、これからマンションの売却を考えている方は必読です。
失敗事例1. 「不動産会社」の力不足・やる気不足
- 不動産会社が精一杯買主を探してくれているとは思えない…
- なんだか頼りない担当者で心配…
このような不動産会社や担当者を選んでしまえば、マンション売却はまず失敗してしまいます。マンションの売却において、仲介してくれる不動産会社の役割は重大です。多くの方は、マンション売却の初心者。不動産会社は、パートナーとなり、先生となり、あなたのマンション売却を成功に導いてくれる存在であるべきです。
優秀な不動産会社や担当者を見極めるためには、「査定」の場がとても重要になってきます。査定はマンションの適正価格を見極めるためのものですが、不動会社を見極める場でもあるのです。
必ず避けるべきは、1社にしか査定を依頼しないこと。これだと、査定額も不動産会社の質も比較することができません。一口に「不動産会社」といっても、取り扱っている物件や得意分野の物件はそれぞれの不動産会社によって異なります。このため、必然的に査定額も変わってくるのです。もちろん、不動産会社のサービスや担当者の人柄も千差万別。この点を踏まえた上で、複数の不動産会社に査定を依頼して、適正な査定額を把握するとともに、不動産会社の見極めをするようにしましょう。
失敗事例2. 「マンションの価格設定」を誤った
- なかなか売れない…
- 反響もほとんどない…
マンション売却のよくある失敗事例は、長期間売れないこと。原因の多くは、やはり価格にあります。具体的には、相場より高い売却価格を設定したがために買い手がつかないという状況です。
当然ですが、マンションの売却を検討しているのはあなただけではありません。今この瞬間にも、売却を考えている人が近くに存在するかもしれないのです。その物件が、あなたのマンションとほとんど同じ仕様で、しかもあなたの物件より安く売り出されたとしたらどうなるでしょうか。
ほぼ間違いなく、買い手は安い物件のほうを選ぶはずです。これによって売却期間が延びてしまうと、自分のマンションの売り出し価格が2~3割下がってしまうこともあります。こういった問題を回避するためにも、周辺の似たマンションの相場を知ることが重要です。
その上で、類似物件の価格に寄せるだけでなく、売出し時期をずらすなどの戦略を立てることも必要になってくるでしょう。
失敗事例3. 「売る時期」を誤った
- 思ったような価格で売れなかった
- もう少し早く売れば良かったかな…
このような後悔をしないためには、マンションを売る時期についても考えなければなりません。商品の価格は、公共料金を除いて景気の変動に左右されますが、それらの中でも特に不動産は景気変動による影響を受けやすい傾向があります。よって、マンションなどの不動産を売却する際には、景気動向を把握することが重要になってくるのです。
不動産市場が下落しているタイミングで物件を売りに出すと、売却価格が落ち込むのは当前です。この問題を回避するには、市場を確認するための情報を収集する必要があります。
情報源としては、次のようなものを活用してみるのが良いでしょう。
- 国土交通省の地価公示
- マンション・建売市場動向
- レインズの月例マーケットウォッチ
これらの情報は、インターネットで簡単に知ることができます。また、新年度の初めには、就職や転勤になったユーザーが中古マンションを購入するケースが多いので、価格は上昇傾向にあります。つまり、1年の中でも売れやすい時期を狙って売り出すというのも1つの戦略となります。さらに、マンションの周辺地区で再開発などの計画があれば、地価に比例して不動産価格の上昇が期待できるので、これも売却の狙い目です。
失敗事例4. 「最低価格」の設定を誤った
- どこまで価格を下げればいいのかわからない…
- いつ価格変更すればいいのだろう?
売却中、このような悩みが出てくるということは、「この金額以上で売る」という最低ラインが明確になっていないからです。
「最低ライン」の基準は、売主であるあなたの自己都合で構いません。
- 住宅ローン残債額
- 相場価格
- 買い替え先の不動産の価格
例えばこのような感じですね。ただし、検証にあたっては客観性が求められます。具体的には、これ以上下げてしまったら売却後の生活が営めなくなるボーダーを見定める必要があるのです。あらかじめ最低ラインを決めておくことで、反響がなかった場合の価格変更の時期や金額についての戦略を練りやすくなります。
失敗事例5.「見た目」が悪くて売却に時間がかかった
- 反響は多いのに、なぜかずっと売れない
マンション売却では、このような失敗事例も多くあります。「反響数の多さ」が必ずしも成約に結びつかないパターンです。
このようなケースの原因の多くは、見た目の悪さにあります。今やSUUMOやHOME’Sなどの不動産ポータルサイトには、室内写真が不可欠。ここで次のような印象を持たれてしまうと、なかなか内見につながりません。
- 清潔感がない
- 築年数以上に古さを感じる
- 平米数以上に狭さを感じる
物件情報に満足してもらったとしても、内見以前に写真を見ただけで断られることも多々あります。これを回避するには、掃除や片付けをしっかりと行い、採光にも気を配ることが必要です。
マンションを売るということは、近い将来引越しをするということ。引っ越しの準備を兼ねて、不要なものは処分し、片付けを進めていけば、自然に部屋も片付くので一石二鳥です。その上で、汚れが残っているところはなるべく映らないように写真を撮り、購入希望者が内見に訪れるまでの時間差を利用して清掃を完了させるのが効率的でしょう。
失敗事例6.「内見」で失敗
- 内見数が多いのになかなか成約に結びつかない
ケース5と違い、内見に来てくれる人は多いけど売れない。このようなケースでは、内見時の対応に問題がある可能性があります。
内見とは「内部見学」の略。売却したいマンションの部屋に買い手を招待することを指します。それまでの段取りがいくら良くても、内見の対策と対応が不十分であれば、不動産契約は絶対に成立しないと断言しても差し支えありません。具体的な事例は、次のような点です。
- 内見時に売主のPRがうるさい
- 思ったより狭く古く感じる
まず内見時には、売主は率先して内見者を案内する必要はありません。その役目は、不動産会社の方です。マンションのPRなどしたい気持ちはわかりますが、ここはぐっとこらえ、内見者に「生活のイメージ」をしてもらうことが大切です。
そして内見では、できる限り生活感を出さないことがポイントとなります。綺麗に整理整頓することはもちろん、低予算でのクリーニングが可能な壁紙などには手を入れておいて損はありません。また外部の業者にホームステージングを依頼して、居住空間を演出するのも効果的です。さらには、売主自身が提供できる情報として、近隣住民の騒音具合や周辺施設の利便性などを具体的に伝えることが望まれます。基本的に売主は影に徹するべきですが、売主しか知りえないポイントなどは内見者に伝えるようにしましょう。
失敗事例7. マンション売却の「諸費用」を知らなかった
- あれ?思ったより手元に残った金額が少ないぞ…
- 希望金額で売れたのに、買い替え先の予算が足りなくなってしまった
マンションを売却する際には、重きを占めるローンの残高などに気をとられるあまり、仲介手数料や不動産登記費用などの諸経費を計算に入れるのを忘れがちです。そうなると、売却益が想定外に安くなってしまうという事態が生じます。
マンション売却にかかる諸費用は、売却金額のおよそ4%といわれています。とはいえ、不動産売却における諸費用は種類が多いため、自分で計算するよりも、不動産会社に依頼して見積もりを出してもらうようにしましょう。その上で、売却価格の設定をおこなうことをおすすめします。
まとめ
マンション売却の失敗事例からわかるように、マンション売却の成否は、売主であるあなた自身の情報収集力や判断力に左右されます。よって、すべてを不動産会社に丸投げするのではなく、担当者と連携を取ることが重要です。その際には、複数の不動産会社に査定を依頼して相場などの重要ポイントを把握するとともに、不動産査定サイトも2つ以上組み合わせる等の注意点を意識するようにしましょう。
イイタンコンシェルジュでは、査定はもちろんのこと、査定前の不動産売買に関するお悩みを気軽に相談することができますので、ぜひご活用してみてください。
監修役
ヒトワークス株式会社 山田力
前職は不動産相場サイト(マンションナビ)の運営に従事。相場価格を把握してもらい、売却の意思の強いエンドユーザーを、不動産会社へご紹介する一括査定サービスの利用拡大を行う。人生で最大の売買である不動産を信頼できる担当者に出会って、幸せな取引をしてもらいたいという思いから、担当者にフォーカスしたサービス【イイタン】を展開するヒトワークス株式会社を2017年に立ち上げる。